多くの人達に親しまれ、表参道のランドマークでもあった同潤会青山アパートの建替え計画である。建物は表参道の街並みとの調和を図るため高さをケヤキ並木程度に抑え、地下に向かって展開することとした。最大の特徴は本館中央にある6層に渡る巨大な吹抜けと、その外周に沿って配置された表参道の坂とほぼ同じ勾配を持つ長さ700mの螺旋状のスロープ、地下から地上を一気に結ぶ大階段、そして大階段に接続する多目的スペースである。また外観は街並みのスケール感を意識して分節し、上層部に配置した住宅は、日当たりの良さと共に全室が街の象徴であるケヤキ並木を一望できる計画とした。敷地の西側には旧同潤会青山アパートの外壁の一部を再生した「同潤館」を設けるなど、全てを新しくするのではなく、様々な形で「都市の記憶」を体験できる場所を持つ表参道ヒルズが、この街の未来を牽引する新たなランドマークとなる計画とした。