箱根 桃源台において、客室数154室を有する旅館の新築計画である。計画地はj芦ノ湖に向かって開いた、豊かな緑に包まれた場所にあり、この美しい風景のある場所性、受け継がれてきた歴史伝統文化、来訪者の思い出としての記憶をつなぐように設計を行った。建物の配置は、芦ノ湖とのつながりや既存樹木を活かしつつ、オーセンティックな旅館建築の構成に見立て、共用棟「母屋」と宿泊棟「離れ」を湖岸線と地形に寄り添うようにつないだ。また芦ノ湖を望む最良の位置に玄関口となる共用棟を配置し、芦ノ湖に向けて水盤を設けインフィニティな絶景を創出した。また各棟のボリュームを分節し、雁行配置することで、樹々の間に佇む建物の姿が景観への影響を和らげるよう配慮した。自然石や苔、木工などの箱根の自然や伝統文化をモチーフにしたデザインを、ランドスケープからインテリアまで、現代の旅館建築の機能に落とし込むようにデザインした。