東京証券取引所の正面玄関の前に建つ独立系証券会社の本社ビルの計画である。旧渋沢邸跡地に建つ日証館にも隣接するなど、日本の金融センターとしての歴史ある街に相応しい、重厚感ある外観デザインを心掛けた。白色系花崗岩をマリオンに用いた、彫りの深い縦連装スリット窓を特徴とするファサードとし、重厚かつ規律性のある姿を印象に残すデザインとした。また縦スリットの頂部にはアルミルーバーを用いて、空への緩やかな繋がりと外観のアクセントとなることを意図した。内部には木質系の素材を用いて、緊張感を伴う業務に向き合う方々に向けて、安らぎを提供する様にした。またレイアウトプランでは極力無駄を省き、多様な本社機能をコンパクトに集約させた。各部ディテールはシンプルでメンテナンスがしやすいつくりとして、長きに渡り使われ続ける建物を目指した。