駅舎の老朽化とバリアフリー化に対応した改築プロジェクトである。中野新橋駅のある弥生町は、敷地近くの神田川を境に住まう方の世代や建物規模などに違いがある一方、駅周辺にこれらの多様な人々が集い共存して一つの街を形成する特異な個性が感じられた。この個性を手掛かりに、駅を都市のnode(結節点)のような場所として捉え計画を進めた。駅の出入口は、角地の利点を生かして交差点に向けて配置し、街並みに対する『存在感』と、街への『開放性』を意図して、地下から地上へと繋がる上昇感のあるウェッジラインを軸に、人々そして他の街との繋がりを育む結節点のイメージをデザイン化し、シンボルとなる駅を目指した。コンコースは改札外に街のための『集いの広場』を、改札内にファニチャーのある利用者向けの『集いの間』を設けた。集いの空間は温かみのある自然素材を、機能動線空間にはクールで都市的な素材を用いてメリハリある構成とした。