末広町駅は『土地の記憶~親しみと愛着が増すほっこり感~』をデザインコンセプトとする、銀座線リニューアル計画下町エリアの内の一駅である。秋葉原の北の玄関口に位置しており、計画においては土地の記憶と街への愛着を込めて『でんきの街』をキーワードにデザインを展開した。全面改装の乗降場は漆黒の壁と天井をベースに、その中に挿入された照明の存在感が意識されることを狙った。またリベット留めの架構やヴォールト天井など開業時からの姿を留める軌道空間は純白とし、乗降場との色彩の対比により歴史ある空間を際立たせた。さらに純白の空間は乗降場からの光を優しく受け留め、空間の構成が立体的に浮かび上がる効果も狙った。リニューアル以前から利用者の心象にある壁面アートと、リニューアルの一環として新設される陶板アートを、駅のシンボルとして新旧をつなぎ利用者に長く愛される駅舎を目指した。