強羅エリア東端の高台に位置する客室70室の旅館風ホテルの計画である。強羅の大地に対し「際立ち そして佇む」をテーマに、垂直と水平の線を用いた和風のフォルム構成とし、往時の高級別荘地を想起させるデザインとした。施設のメインとなる浴場は、眺望の異なる展望風呂2室とテーマ性を持たせた貸切風呂3室の計5タイプを共用部に配すると共に、客室は全室に露天風呂を設け、それぞれに個性ある魅力を持つ空間とした。ロビーやゲストラウンジ、屋外には趣の異なる2つのテラスなど、宿泊者が思い思いの過ごし方を愉しめる場を施設内に散りばめるとともに、おもてなしの想いを、煉瓦積・組子細工・錫細工・左官などの職人の手仕事により表現した。富士箱根伊豆国立公園内の様々な規制により、建物は見かけ上4棟の分棟配置とし、各棟の高さは15m以内抑えた。また共用棟と客室棟は公道を跨いだ配置のため、道路下に渡り廊下を設けてで接続した。