西新橋地区は、関東大震災後の復興計画により再編成された街区に、現在も小規模な古い建物が混在する場所である。計画地が面する環状第二号線「新虎通り」は、その復興計画に描かれてはいたが、計画以降80年以上の時を経てようやく実現されることとなり、整備に合わせて周辺地域の魅力的なまちづくりを一体的且つ計画的に進めることを目的として地区計画が定められた。地区計画第一号案件となる本計画は割増容積率制度を活用し、街に開いたにぎわい施設を低層部に設け、高層部をオフィスとして計画した。低層部は木質系の温かみのある素材を多く用いて、街路環境や人との関係性に配慮した。高層部は風景の映り込みを狙ったガラスを主材とし、縦基調の大名縞を模したデザインを組み合わせることで、建物規模以上の存在感を与えた。さらに縦ラインにはフィンを設置し、都心オフィスの洗練されたイメージと陰影による時の移ろいを表現した。