緑豊かな新宿御苑にほど近く、一方で繁華街の喧騒と隣り合わせの立地におけるオフィスビルの計画である。計画当時は、この地の記憶を感じさせる雑多な風景が色濃く残っていたが、決して良い環境とは言い難い状況であったため、未来へ向けてそのイメージ一新することを意図して、新しさと清潔さを兼ね備えた街へのアップデートを牽引するデザインを試みた。クリアなガラスはその象徴として全面に採用し、新宿御苑の緑をふんだんに室内へと導き、軽やかなフィンで爽やかな風の流れを表現した。天空率から生じる建物の角欠けをデザインに活かし、甲州街道に面した縦基調のヴォリュームと、新宿御苑に繋がる横基調ヴォリュームを噛み合わせ、街並みのスケールとの調和や人々の動き、交差点での人・車・モノの交わりなどを抽象化して表現した。