赤坂駅近くの飲食店が並ぶ通りに面した既存のオフィスビルにおいて、駅からの利便性とアクセスの環境の向上を目的とした改修計画である。既存建物は2つのヴォリュームから構成され、建物の裏手に当たる低層部を隣地の公開空地に接続させ、新設のサブエントランスとして整備するよう計画を進めた。メインのヴォリュームから独立した外観は、既存のメインファサードのテラコッタ横ルーバーに対し、木目調縦ルーバーを用いて既存ファサードと呼応しつつ独立した個性を持つデザインとした。縦ルーバーは異なるサイズを用いて、太陽光や夜間の照明がもたらす繊細な陰影によって豊かな表情が創出されることを意図した。木調の低層ヴォリュームは、隣地の公開空地の緑地とまるで前庭の様に調和することで、公共に開かれた空間に対し、新たな風景を都市の価値として創出した。