1949年(昭和24年)1月、解体修理中の法隆寺金堂が火災に見舞われ壁画を焼損した。これを契機として文化財保護法が制定され、壁画保存のための収蔵庫が建設されることになった。壁画は焼け残った内陣の架構ごと保存するとして、建物中央に架構・壁画収蔵室、両脇に2層の部材・資料収蔵室の構成とした。中央収蔵室にはテラス回廊が、入り口には人が訪れるピロティ空間が設けられ、将来の公開も意識されている。外観は倉を意識させるシンプルな切妻屋根と開口部の少ない土壁風外壁でまとめた。また、内部には当時まだめずらしいドレンチャー設備、CO2消火設備が備えられている。1958年(昭和33年)、この建物内収蔵されたる法隆寺金堂壁画が重要文化財に指定された。2015年(平成27年)には法隆寺金堂壁画保存活用委員会が立ち上げられ、法隆寺前大野玄明前管長の遺志でもある「壁画の現地での一般公開」を目指した検討が始まっている。