都市再生機構が主導する「愛宕地区」再開発事業は、愛宕山の豊かな自然の保全と都市基盤の整備に加え、国際交流拠点を支える居住機能と賑わい創出を目指しており、事業を実施する特定業務代行者の決定に向けて基本設計を行った。構成は愛宕神社参道の両側に広場を配置し、広場の南側に住宅・事務所・店舗の超高層タワー棟、北側に寺院と店舗の低層棟を配置した。タワー棟は背面の森と空に馴染むよう配色を低層と高層に分け、外壁コーナーに曲線を採用したやわらかいフォルムとすることで、周辺環境に調和するよう配慮した。また頂部はガラスを基調に柔らかなスカイラインを描き、空に溶け込む効果を狙った。この事業では参道と一体となった地区広場の整備に加え、愛宕山の緑を都市に拡張する緑地と建物の一体的な整備と、愛宕下通りの拡幅や愛宕山斜面整備等を行うことによる都市機能の更新と土地の高度利用を目指しており、その目的に応えた設計を行った。