曹洞宗萬亀山「東長寺」は文禄三年(1594年)開創された曹洞宗寺院である。慶長7年(1602年)には約2300坪の土地が境内地とされ時代の変遷や火災を経て順次再建され、時代に呼応する寺院として現在に至る。今回、都市計画道路により分断された境内地に対して、「開創400年記念事業」として、伽藍を再構築することとなった。現代建築の合理性と歴史的な寺院建築の落ち着きをあわせ持つ寺として、都心の限られた敷地を有効活用するため、縦に七堂伽藍を重ねる構成となった。地下に座禅等、観音堂、開山堂、講堂を配し、1階に食堂、書院を、そして2階には山門、本堂と水庭を囲む回廊を設けた。アプローチの階段を上り山門をくぐると中庭水庭の水面に移る本堂の全景が見え、印象的である。これらの伽藍空間は様々な仏教活動の場として活用されている。