1970年4月に落成した5,000人級のホールを有する普門館は、宗教活動の場としてだけではなく「文化、学術、芸術活動の普及と発展に貢献する」という佼成会の方針の下、吹奏楽の甲子園と呼ばれるほど音楽活動で多くの人々に幅広く利用されてきた。東日本大震災後の2012年に耐震上の問題により40年の歴史に幕を下ろすことが決断され、その解体のあり方には細心の配慮が求められた。佼成会の成長を支えてきた普門館の建設には信者の方々の熱い想いが込められており、解体には「美しさ」を、解体後の場のあり方については「記憶と創造」をテーマに検討を重ねた。そして国内屈指の重機を用いた静かで美しい解体の後には、普く人々が普門館の記憶を辿りながら未来を考えるための「ひろば」が誕生した。