かつて吹奏楽の甲子園と呼ばれた普門館の解体に伴い、ロビーに安置されていた聖観世音菩薩像を大空の下に遷座するプロジェクトである。遷座にあたり、立正佼成会の方々と四国のお寺を巡り検討した結果、菩薩像には何も囲わないことが最良の解だと言うことに行き着いた。一方で、仏師の錦戸新観師の手による像を風雨にさらすことは出来ないとの判断から、存在を出来る限り消してしまう建築を目指すこととした。観音堂は3.05m×3.05m高さ3.45mのガラスのみで自立する構造とし、大聖堂のご本尊と巽の軸線上に揃えることで、参拝時に観音様と御本尊のお顔が重なる配置とした。菩薩像の周囲には石彫家の和泉正敏氏によって魔除けの赤石が据えられ、祈りの場はより一層高い聖域に仕立てられた。