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2006年12月15日(金)
「醸造蔵」設計譚

061215.JPG 忘年会の季節となり酒に親しむ機会が多くなる年末にちなんだ話題を一つ。世間には様々な専門分野の雑誌があり、ここで紹介する「醸界春秋」は神戸市灘にある雑誌社が発行する酒専門の月刊誌です。酒にまつわる情報やエッセイ、研究などを紹介し現在112号を数える「飲んで酔境、読んで教養」というバラエティー豊かな雑誌です。

その中に「醸造家と建築」という題名で神戸女学院大学の川島智生(ともお)先生が連載を続けています。古来、町の中で大工の棟梁により創り続けられていた酒蔵と、酒造メーカーが建築する近代的な酒造工場のはざまにあって、建築史的に取り上げられることが少なかった「醸造蔵」にスポットを当ててその系譜を丹念に読み解いている建築史家です。

2004年10月号(No.93)では「熊本瑞鷹(ずいよう)酒造」を特集しています。仕込みは冬と限定されていた伝統的な酒蔵に、空調システムを完備し季節にかかわらず仕込みの出来る「四季醸造」の考え方を取り入れ、1962年に竣工した建物です。微妙な温度湿度のコントロールを必要とする紡績工場の実績を積んでいた入江設計事務所に依頼された経緯が紹介されています。

061215_1.JPG061215_2.JPG

左:醸界春秋 右:当時の新聞

この前後の当事務所の酒造関連作品としては、若狭小浜に小浜酒造本社(1955)、岐阜県酒造会館(1959)、東京の日本酒造会館(1961)、熊本県酒造会館(1964)などがあげられます。当時、三宅所長(現会長)は新聞紙上に次のようなメッセージを寄せていました。


建築は凍れる音楽といわれる。芸術としての建築造型はまさしく無からの創造である。然しそれはまた人間を容れるうつわでもある。「用」という面がきびしい制約となって迫り、建築家を苦悩させる。
一杯の酒が創作の苦しみを和げ、また時として素晴らしいひらめきのよすがとなることもある。
入江三宅設計事務所 所長 工学博士 三宅 晋


当事務所の所員に酒好きが多いのはこんな理由によるのかも知れません。

-風琴子-

 
入江三宅設計事務所
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